太陽光パネルリサイクルの実情 重金属溶出による危険性
再生可能エネルギーの主役である太陽光発電において、初期に設置された太陽光パネルが順番に耐用年数を迎え、これからパネルの処分量が急増していく時代へと入っていきます。2030年代後半から2040年代にかけて、初期に設置された大量のパネルが一斉に寿命を迎え、年間の廃棄量は最大で約50万トンに達すると試算されています。これは2025年に数万トンといわれている状況下において、今後一気に10倍以上に増えていくことが予想されています。
しかし、そのような状況下で一つ大きな課題として挙げられているのが、重金属の存在です。重金属を含む太陽光パネルは、従来型の単純な破砕処理ではリサイクルが困難であり、安全に再資源化できる施設が全国的に不足しているため、多くが埋立処分場に捨てられているのが実態です。日本国内にある最終処分場は残余容量が限られており、大量の太陽光パネルが将来的に大きな負荷になる可能性があることが課題として挙げられています。
太陽光パネルに鉛が含まれていることは適切なのか?
太陽光パネルは小さなシリコンの板(セル)が並んでいますが、このセルとセルを縦方向に繋いでいる配線があり、この配線をセルと接着するときに用いられる「インターコネクタ」と呼ばれる細い銀色の筋部分は、「鉛入りのはんだ」でコーティングされています。これに含まれる鉛が、有害物質として扱われています。
鉛は太陽光パネルが製造される時期の前から有害であると認識されていました。しかし、規制が始まる前であったことに合わせ、規制後も太陽光パネルは「屋外で20年以上、過酷な温度変化に耐えなければならない」という極めて特殊な製品であり、当時、鉛を使わずにその耐久性を保証できる技術が未熟だったため、「代替技術がない」という理由で長らく規制の例外(適用除外)とされてきました。
そのような観点から、鉛が使われた太陽光パネルが広く流通するに至ったという背景があります。その他にも、一部のパネルにはカドミウムやセレンといった毒性の高い物質が使用されていることもあります。
太陽光パネルは処理する際に溶出試験が求められる
環境省のガイドラインにより、使用済みパネルを廃棄・リサイクルする際は、鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質の含有・溶出状況を把握することが求められています。本来、パネルメーカーによって素材が開示されているべきですが、メーカーが明確な成分情報を開示していないケースは多々あります。その場合、溶出試験を行って安全性を証明しない限り、優良なリサイクル施設や最終処分場(埋立地)は受入れをしてくれません。
試験結果がないまま引き取ると、処理業者が不法投棄や土壌汚染の責任を問われるリスクがあるため、「データがなければ次の工程に進めない」というのが処理側の考え方としてあります。
溶出試験で有害物質が出てきた場合、リサイクル処理が困難な現状
リサイクルが難しい理由: 溶出試験で基準値を超える重金属(はんだ由来の鉛など)が検出された場合、パネルを単純に砕いてガラスや金属として再利用しようとしても、素材に有害物質が混ざってしまい買い手がつきません。重金属を含まないガラス部分だけを綺麗に分離・無害化する特殊なリサイクル技術はすでに実用化され始めていますが、全国規模で大量のパネルを安価に処理できるほどのインフラ整備には至っていないのが現状です。
現状はどうしているのかというと、世間で注目を集めているような高度なリサイクルルートに乗せられない場合、「管理型最終処分場」といわれる埋立施設で処分を行わざるを得ないケースが多く発生しています。
今後の大きな課題とリサイクル技術の進展への期待
これまで見てきたように、2030年代後半に向けて太陽光パネルの大量廃棄時代が本格化するにつれて、その処分に関する課題は今後ますます大きくなっていくことでしょう。そのため、これからの社会においては、「溶出試験で基準値を超えたもの」であっても、リサイクルできる仕組みの構築が強く求められます。鉛などの重金属を適切に分離・無害化しつつ、大部分を占めるガラスや有価金属を再び資源として循環させるルートを確立しなければ、持続的なリサイクル・資源循環は実現しません。
現在、こうした困難な課題を打破すべく、特殊な分離技術や化学的な処理方法など、様々な企業や研究機関で新たなリサイクル手法の開発が進められています。今後のリサイクル技術のさらなる進展と実用化に大いに注目していきたいところです。
太陽光パネルのリサイクル技術は注目を集めていますが、それですべてが解決するというわけではありません。試験で有害とみなされたものについては、そのもの全体が埋立処理をすることとなり、それは日本の限られた埋立処分場容積を踏まえると大きな影響に直結します。当社もリサイクルを担う企業として、常に新しい情報を収集し、皆様にお届けをしていきたいと考えております。「リサイクルはコスト」と思われがちですが、埋立処理をする方がコスト高になるケースもあります。リサイクルと処理費用の最適解をご提案させていただきます。


